最後の恐竜の話を知ってますか? [駄話]
地球上で最も美しい土地に、一匹の恐竜がいました。
彼女は生まれてから一度も生まれ育った土地を出ようとしませんでした。
あるとき地球に異変が起こりました。
これまで暖かかった土地が、どんどん寒くなっていきました。
寒くなるにつれ、仲間たちも死んでいきました。
生き残った仲間のうち数匹はもっと暮らしやすい場所を求めて旅に出ました。
でも、ここよりも暮らしやすい土地なんてありません。
旅に出た仲間たちはすぐに死んでしまいました。
彼女は決して生まれ育った土地から離れようとしませんでした。
彼女の他にも居残った者はいました。
しかし、残った仲間たちもどんどん死んでいきます。
そして最後の仲間が死に、とうとう彼女は地球上で最後の恐竜になってしまいました。
その夜、彼女は立ち上がり、歩き始めました。
生まれ育った土地を離れ、見たことのない風景の中を歩き続けました。
寒さで意識が朦朧とする中、彼女は歩き続け、そして倒れました。
彼女が空を見上げると、星が輝いていました。
それが彼女が最後に見たものです。
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